電気工事は太いケーブルや配管などの加工、コンクリート壁の穴あけをする場合において、充電された電動工具、たとえば丸ノコなどのケーブルカッターやハンマードリルなどを使用します。
しかし、基本的には手で使用する工具も多く利用して工事を進めています。
今回は、電気工事で使用する工具、特に電動工具以外の工具にフォーカスして紹介していきましょう。
電気工事士技能試験工具には基本的に電動工具がない
電気工事士試験では、実技試験で電気工事の作業を実演する場面があります。
そのような場面で使用する工具は持ち込みが許可されているものの、工具の種類に指定があり、主に次のような工具の持ち込みができます。
・電工ドライバー(プラスとマイナス)
・ペンチ
・圧着工具
・ウォーターポンププライヤー
・電工ナイフ
・メジャー、スケール
つまり、これらの道具があれば基本的な電気工事ができるということです。
それぞれどのようなものか解説しましょう。
電工ドライバー(プラスとマイナス)
ドライバーは建設現場でよく用いられる工具です。
ただし、電工ドライバーについては、電気工事用に特化したドライバーになっています。
主な特徴が絶縁部分を使用していることです。
感電防止対策としてグリップ部分にゴムやプラスチックなどの絶縁体を使用し、電気工事でも比較的安全に作業できるドライバーとして使用されています。
基本的に電工ドライバーを介して感電することがないため、電気工事においては必須のドライバーといえるでしょう。
ペンチ
ペンチも電気工ではよく使用される工具です。
特徴としては、電工ドライバー同様に絶縁体がグリップ部分についていることや配線の被覆剥きが可能になっています。
また、製品によっては、配線の切断、配線の被覆剥きの他に後述する圧着工具の機能を持たせたものもあります。
圧着工具
圧着工具とは、電気工事の工具独自の工具といえるでしょう。
ケーブルや電線同士を、あるいはケーブルや電線と端子とを接合するために必要です。
ペンチのように挟んで握ることで電線と端子などが圧着する仕組みです。
ウォーターポンププライヤー
名前から電気工事というよりも水道工事に使用する工具のイメージを受けますが、実際の電気工事でも活躍する工具です。
基本的な用途としては、たしかに水道工事などで配管のボルトを締めたりするといった用途で利用されています。
しかし、電気工事では金属管やプラスチック製のフレキ管(PF管)
といった電線を通すための配管の施工をする際に使用します。
ボックスやコネクタ部分をロックナットで固定するといった用途で使用しているのが特徴です。
電工ナイフ
電工ナイフは電気工事などにおいて電線やケーブルの皮むきに使用します。
電気工事用として絶縁体がグリップ部分についているほか、現場での利用を考慮して通常の形状である固定刃型や折り畳み型があります。
固定刃型は、さやに納めて使用するタイプで、作業が素早くできる特徴を持っています。
携帯性には劣るものの、作業開始がスムーズです。
折り畳み型は、刃をグリップの中に折りたたむタイプです。
使用する際にストッパー金具を外して、それから刃部分を開いて使用します。
固定刃の半分程度のサイズになるため、携帯しやすいメリットがありますが、今紹介したように使用するためにはいくつかのステップを踏む必要があります。
メジャー、スケール
電気工事ではとにかく計測を行います。
そこで活躍するのがメジャーやスケールといった工具です。
電気工事士としても非常に便利なアイテムとして使用され、その頻度も多いといえます。
こんな道具も使って電気工事を進める
電気工事では工具を中心に使用しますが、次に紹介するような道具も積極的に使用しています。
・スイッチ・コンセントボックスケガキレベル
・水平器
・筆記具
・ケーブルスライダー
・コードレス掃除機
・投光器
スイッチ・コンセントボックスケガキレベル
ケガキレベルとは簡単にいえば、専用定規です。
罫書き(けがき)と呼ばれる、加工に必要な線や点を罫引や罫書き針などを用いて材に書いていく作業で使用します。
ただ、通常の定規と異なりスイッチ部分やコンセントボックス部分の罫書きに適したサイズや形状になっているのが特徴です。
後述する水平器と合体しているタイプの物もあります。
水平器
建設工事では水平を出すことが重要です。
それは電気工事であっても例外ではありません。
電気工事でボックスを設置する場合などに水平を出すための水平器を使用することも多くあります。
また、電気工事に特化した水平器ではさきほど紹介したスイッチ・コンセントボックスケガキレベルと合体しています。
筆記具
罫書きなど目印をつける場合、鉛筆をはじめとする筆記具も使用します。
また、施主の希望をメモしたり、電気工事士やほかの専門職との連絡を記録したりといった用途にも必要な道具です。
ケーブルスライダー
ケーブルスライダーとも呼ばれる工具です。
通線工具ともいわれる工具で、配管に電線ケーブルなどを通す際に使用します。
ケーブルをスライドさせること(滑らせること)から、このように呼ばれています。
コードレス掃除機
直接電気工事には使用しないものの、コードレス掃除機は必須の道具です。
ホコリまみれの現場であったり、電気工事施工後でゴミやホコリ、穴を開けた際に発生した粉などを片づけたりする場合に重宝します。
充電式で工具と同じバッテリーを使用するものもあります。
投光器
投光器とは特定の方向を照らすために強いビーム状の光を発するライトです。
電気工事は建物の見えない場所に施工したり、あるいは暗い時間帯に作業することも珍しくありません。
このような状態で視野を確保するために光が必要であり、投光器は重要なアイテムとして使用されています。
まとめ
電気工事の現場では、作業でも積極的に電動工具を使用します。
これは、手では難しい現場での作業が多いことや便利さ、作業効率を重視した背景があります。
このような状況ではあるものの、やはり基本は手による工具での電気工事です。
今回は、電気工事士試験に必要な工具を中心に現場でも使用されることが多い電動工具以外の工具を紹介しました。
電気工事の現場ではそういった工具も活躍しているので、もし機会があれば遠くから見てみましょう。