電気工事は、さまざまな建物内外の電気が流れている装置や設備を工事する仕事です。その中にあるのが電気が流れている電気設備です。
この電気設備は照明のように目立つ場所になかったり、直接利用する方が触れるものではないため、存在がおろそかになっていることも少なくありません。
しかし、電気工事のうち電気設備にも耐用年数があり、扱いに問題があると深刻なトラブルを引き起こすことがあります。
今回は、電気設備とはそもそもどのようなものかを解説し、電気設備の耐用年数や長持ちさせるための方法について解説します。
電気工事の一つ・電気設備とは?
電気設備とは、電気を作ったり、運んだり、電気を変化させたりする設備です。
このような電気設備ですが、次のような分類がされます。
発電設備
発電設備は、文字通り発電できるものです。
火力発電や原子力発電などの設備を指しますが、そういった大規模な発電設備以外にも会社の身近な発電設備としては、屋上や敷地内にある太陽光発電や非常用の発電設備などがこれにあたります。
送配電設備
送配電設備は、簡単にいうと電線です。
発電設備で作られた電気を運ぶための設備が送配電設備になります。
一般の会社にはあまりありませんが、大きい工場の場合は、工場内にある電線などがこれに当たるでしょう。
構内電気設備
構内電気設備は、会社の電気設備で最も身近な電気設備です。
一言でいえば電圧を変える設備を言います。
一番身近な物であれば、コンセントが代表的で、電灯用設備、照明設備もこれに含まれます。
また、会社の外や隅に置いてある大きな金属の箱を見たことはないでしょうか。
これは、受変電設備であるキュービクル設備と呼ばれるもので、こういった設備が電気工事では構内電気設備として分類されます。
よほど特殊な職場でない限り、電気設備といえば、そのほとんどが構内電気設備となるはずです。
つまり、電気工事のうち電気設備の耐用年数で気になるのは、構内電気設備がメインといえるでしょう。
電気設備の耐用年数の目安は
電気工事の電気設備、特に構内電気設備である受変電設備(キュービクル設備)の耐用年数は15年が目安とされています。
もちろん、15年が経過したらいきなり使えなくなるというわけではなく、徐々に劣化してある日故障するといった変化があります。
ただ、これはあくまで目安であり、15年たっても問題ない場合もあれば、寒暖差が激しかったり、沿岸部にあったり、あるいは嵐や台風、雹などの被害を受けたりといった事情で短くなることも珍しくありません。
また、酷使している所やあまり使わないところ、周辺環境によって15年という耐用年数は変化するのです。
15年程度が目安ではあるものの、その環境によって、その寿命が大幅に異なるということを知っておきましょう。
電気設備の耐用年数を伸ばすにはメンテナンスが重要
電気設備の耐用年数を伸ばすにはメンテナンスが重要です。
会社のレベルで考えれば、キュービクル受変電設備の定期的なメンテナンスを受けるのがポイントといえます。
キュービクルは、事業用の高電圧の電気をビルや工場などで使用できる電圧に変圧する電気設備です。
この設備は、さまざまな保護装置や計測装置、さらには配電装置といった器具を内蔵しているのが特徴です。
そして、経理や経営をされている方であれば、お分かりかもしれませんが、非常に高価な電気設備でもあります。
こういったキュービクル受変電設備を長寿命で利用するためには、定期的なメンテナンスが重要です。
器具の交換を行えば、寿命が一気に延びるケースもあるため、定期的なメンテナンスを受けて必要に応じた修理を受けるようにしましょう。
知っておきたい電気設備の帳簿上の耐用年数
電気工事のうちの一つ、電気設備は物理的な耐用年数以外にも帳簿上の耐用年数が存在します。
その年数は15年です。
これは減価償却と呼ばれる帳簿上のルールによるもので、購入した電気設備を15年に渡って分割して経費として計上することを言います。
たとえば、3,000万円で購入した電気設備があったとしたら、それを15年分に分割して20万円ずつ経費として計上していくという仕組みです(定額法)。
もちろん分割の仕組みは今お話しした定額法と呼ばれる方法のほか、定率法といって未償却残高に対して一定の割合を掛けて減価償却費を経費として計上する方法もあります。
電気設備を設置している多くの企業では、こういった定率法を採用しています。
しかし、もし気になる場合は経理スタッフに確認してみるのがおすすめです。
補足として一般的な電気設備以外の電気設備の耐用年数も紹介していきます。
電気工事の耐用年数として知っておくと便利です。
まず、発電設備に分類される電気設備として、水力発電設備が20から22年、ガスタービンによる発電設備は15年です。
また、会社で設置されていることが多い、太陽光発電は17年に設定されています。
同様に風力発電設備を設定している場合も17年です。
ただ、発電設備の電気設備でも、自家消費を目的にしている場合、たとえば工場で部品を作るために使う電気用の発電設備にしているなら帳簿上は9年が耐用年数になります。
次に送配電設備についても解説します。
こちらは構内電気設備と発電設備を結ぶ電線の電気設備ですが、基本は15年です。
ただし、ケースによっては電気工事関連の中でも最長の22年と、20年を超える耐用年数になることもあります。
まとめ
電気工事の一つである電気設備の工事は、一般の電気工事を手掛ける会社でも対応できますが、専門で手掛けている会社も少なくありません。
そのため、まずは設置した電気工事会社に依頼し、分からない場合は電気設備を得意とする電気工事会社に依頼するようにします。
そうすることで、メンテナンスや問題個所の修理など適切な対応を受けられ、建物内の電気設備の寿命を伸ばすことができるでしょう。
また、電気設備は帳簿上減価償却が異なる場合があります。
基本は15年で計算することがほとんどですが、今回紹介したように一部の発電設備や送配電設備は、15年ではないケースも見られます。
もし、工場などで発電設備による電気設備を持っている場合は、耐用年数の算定に注意しましょう。
そうすることで、帳簿上のトラブルなく、スムーズな計算が可能となるはずです。